結論
食料品の消費税率を8%から1%へ下げると、今回の標準ケースでは平均的な家計の年間負担は約4.2万円軽くなります。一方、税収全体は約2.71兆円の減少となり、追加消費などから生まれる「戻り税収」だけでは直接減収を埋められません。
この結果は、政策の賛否を決める予測ではありません。価格にどれだけ反映されるか、減った負担のうちどれだけが追加消費に回るか、国内に需要が残るかを仮定した簡易シミュレーションです。
前提を確認する
このサイトの標準ケースでは、食料品の税率を8%から1%へ変更します。減税余地の80%が税込価格に反映され、家計が軽くなった分の50%が追加消費に回ると置いています。企業は利益の30%を賃金・投資へ回し、輸入による海外流出は18%、政策の影響期間は2年です。
現行制度の確認には国税庁の資料を使っています。標準税率は10%、軽減税率は8%で、軽減税率の飲食料品には酒類と外食を除く食品が含まれます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6303.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6102.htm
標準ケースの計算結果
家計の年間負担: 約4.2万円減
食料品の平均税込価格: 約5.2%低下
食料品関連企業の利益: 約0.49兆円増
その他分野の追加消費: 約1.17兆円増
税収全体: 約2.71兆円減
財政への純影響: 約2.79兆円減
家計への効果は、食料品の支出に含まれる税率差を出発点にしています。すべての世帯が同じ金額だけ得をするわけではありません。食料品への支出額が大きい世帯ほど、金額ベースの恩恵は大きくなります。反対に、支出が少ない世帯では、割合としては同じでも金額は小さくなります。
価格はどこまで下がるのか
税率を7ポイント下げても、税込価格が7%下がると単純には考えません。このモデルでは、減税余地の80%が価格へ反映されると置いているため、食料品の平均価格の低下は約5.2%です。
実際の価格は、販売者の値付け、仕入れ価格、人件費、物流費、競争環境などにも左右されます。減税分がすべて値下げになるのか、利益や賃金、投資に回るのかは、業種や企業によって異なります。そこでシミュレーターでは、価格還元率を動かして結果を比較できるようにしています。
税収の減少と戻り税収を分けて見る
税率を下げた直後に生じる直接減収と、消費・賃金・企業利益の変化から後で生じる戻り税収は別物です。標準ケースでは、直接の消費税収が約2.92兆円減り、所得税や法人税などを含む戻り税収が約0.21兆円増えるため、税収全体は約2.71兆円の減少になります。
財務省は、令和8年度予算の消費税収(国税分)を26.7兆円と説明しています。ただし、今回の試算は国税分だけでなく、地方税や行動変化なども含む独自の簡易モデルです。公的な予算見積もりと同じ数字として扱わないでください。
https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda022.html
結果を変える3つの入力
第一に、価格還元率です。値下げに反映される割合が低ければ、家計の実感は小さくなります。第二に、追加消費率です。減った負担が貯蓄に回る場合、景気経由の戻り税収は小さくなります。第三に、輸入流出率です。追加需要が海外の商品や原材料に向かうほど、国内の所得・利益・税収への波及は弱くなります。
使い方と注意点
画面上のスライダーを動かすと、同じ政策でも前提を変えた結果を確認できます。「家計だけを見る」「税収だけを見る」といった使い方ではなく、家計、企業、政府、海外の4方向を一緒に確認してください。
このページの数字は、標準ケースの一例です。制度設計、対象品目、実施時期、企業の価格転嫁、景気、為替、所得分布などを精密に再現したものではありません。政策を評価するときは、政府資料や統計、複数のケースと照らし合わせる必要があります。
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